薬学共用試験とは
6年制薬学教育では薬剤師としての実践能力の習得、医療人としての倫理観や使命感の醸成を目指して、経験豊富な薬剤師の指導・監督の下で、5年次以降に病院・薬局などの医療現場での実務実習が行われます。しかし、薬剤師資格を持たない薬学生が実務実習を行うには、学生の知識・技能・態度が一定のレベルに到達していることを保証する必要があります。そのための試験が薬学共用試験です。薬学共用試験センターは、実務実習を担当する施設や社会に対して「実習生の質的保証をする」という重要な使命のもとに、中立公平な立場で試験を実施しています。
薬学共用試験は、全国の大学で統一された試験であり、主に知識を評価する客観試験CBT (Computer-Based Testing)と、実技を通して主に技能・態度を評価する客観的臨床能力試験OSCE (Objective Structured Clinical Examination)の2種類から成り立っています。
なぜ薬学共用試験が必要なのか
医療現場でおこなわれる実務実習は、薬学生が実際の調剤を行い、直接患者さんに接する参加型実習です。実務実習では、実際の現場での経験を通して薬剤師として求められる知識・技能を身につけるだけでなく、医療の担い手としての倫理観や使命感を醸成することを目指しています。
薬学生は、実務実習において、薬剤師の指導・監督の下に、卒業前に薬剤師としての実践能力を十分に修得しておくことが求められます。しかし、実務実習において、資格を持たない薬学生が薬剤師と同じ行為をすることは、薬剤師法第19条の「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない」という規定に反します。このため、薬学生が実務実習を行うために、「薬学共用試験で一定水準以上の成績を修めていること」が必須です。
薬学共用試験はいつ行われるのか
薬学生は、実務実習を行う前年度に薬学共用試験を受験します。試験は、原則として12月1日~1月31日のうち、各大学が設定した日程で行われます。やむを得ない事情で本試験が受けられなかった学生に対する追試験や、再試験の日程も別に用意されます。