CBTの問題作成
CBTに出題される問題は、全国薬科大学・薬学部の教員が作成します。出題範囲は、薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび実務実習モデル・コアカリキュラム(事前学習)に記載されている990の到達目標(SBO)です。カリキュラム中で△印がついているSBOはCBTの出題範囲から除外されています。
平成18年度、19年度は各大学に150題ずつの問題作成を依頼し、約20,000題の候補問題が集まりました。平成20年度は,問題の少ないSBOを中心に,各大学が90題を作成し、平成21年度以降は、各大学に毎年20題ずつの作成を依頼し、近年は、毎年15大学に150題ずつの問題作成を依頼しています。現在までに、約34,000題の候補問題が作られています。
これらの問題を、各専門分野のCBT問題管理委員がチェックし、分野毎に出題の妥当性を検証します。次に、複数分野の専門家を含む委員会で分野間の難易度差を調整し、さらにCBT体験受験に出題することで正答率、識別値を求め、出題可能と判定された問題のみが出題用問題としてプールされる仕組みになっています。作成問題からの採択率は現在4割程度で、厳しい評価をくぐり抜けた問題のみが本試験に出題されます。
OSCEの課題作成
OSCEに出題される課題の作成は、全国薬科大学・薬学部、日本薬学会、薬学共用試験センター、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、文部科学省、厚生労働省が協働して作業を進め、現在、表に示す領域と課題項目で分類された合計49種類の課題が作られています。
表1.薬学共用試験OSCEの実施課題
領域 | 課題 |
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1. 患者・来局者応対 | ・薬局での患者応対 ・病棟での初回面談 ・来局者応対 |
2. 薬剤の調製 | ・計量調剤(散剤) ・計量調剤(水剤) ・計量調剤(軟膏剤) ・計数調剤 |
3. 調剤鑑査 | ・調剤薬鑑査 |
4. 無菌操作の実践 | ・手洗いと手袋の着脱 ・注射剤混合 |
5.情報の提供 | ・薬局での薬剤交付 ・病棟での服薬指導 ・一般医薬品の情報提供 ・疑義照会 ・医療従事者への情報提供 |
平成16年9月に開催された日本薬学会薬学教育改革大学人会議の第3回アドバンストワークショップ「共用試験OSCEの実施に向けて」において、「実務実習で学生に許容される行為」及び「共用試験OSCEのステーション設定並びに実施項目の提案」が討議されました。その結果、上記の表に示す領域と課題項目が設定されました。平成18年4月から各大学においてOSCEトライアルが開始し、平成18年度は22大学、平成19年度は68大学が実施しました。これらの結果を総括して、平成19年4月に「平成19年度OSCEトライアルにおける標準課題の提案とその実施概要の説明会」が行われ、5領域の8標準課題が大学に公表されました。
平成21年度からの本試験実施に向けて、薬学共用試験センターOSCE実施委員会のもと、問題精選小委員会が中心となり、平成19年4月末までに22課題を追加し、全30課題となりました。平成20年度には、全国薬系大学・薬学部で実施されたトライアルの報告に基づいて事後解析が行われ、この30課題の精選を行うとともに、新規課題及び類型課題として新たに15課題が作成・提示されました。
平成21年4月に開催された「薬学共用試験OSCE新規課題及び実施に関する説明会」において、課題を実施する上で必要な「課題表」、「学生に対して事前に提示する学習・評価項目、医薬品リスト」、「評価表」、「評価マニュアル」、「運用メモ」、及び「各大学からのコメントや質問に対するQ&A」などが各大学に提示されました。
今後も、OSCE実施委員会は、全国薬科大学・薬学部で実施されるOSCE本試験及び追・再試験の結果を毎年詳細に解析し、課題の精選や課題数が不足している領域の新規課題及び類型課題の作成を継続していきます。